兎、波を走る。
酷暑。と言う言葉がぴったりの毎日。皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、そんな、私の近況‥タイトルの兎、波を走る。とは。
近頃、時間に余裕が出来コロナも若干落ち着きまして、いろいろな観劇に行かせて頂いております私‥。
この度、一度観たいと思っておりました日本演劇界の奇才、野田秀樹さん原作、演出の舞台。NODAMAPを観に行く事が出来まして、その舞台のタイトルであります。
今回は、謎の”兎”役に高橋一生さん。
“アリス”という娘役に多部未華子さん。
そして、アリスの母役に松たか子さん。
なんとも豪華なキャストです❗
舞台は波の向こうからやって来たであろう”兎”の不条理~と言う台詞から始まり、アリスという娘を探す母。
つぶれそうな遊園地を舞台に進んでいきます。
‥これは、不思議の国のアリス。をモチーフにしたのか?と思う展開‥
現実と空想の世界を、多彩な役者さんの演技と台詞、舞台セットで紡がれていきます。
しかし、冒頭の”不条理”とは?兎とは?
お母さんは、アリスに手が届きそうで届かない。気持ちでは繋がっているのに‥
現実と空想、過去と現在を織り混ぜながら物語は後半へ‥
徐々に、事実が明らかになっていく。
謎の”兎”は、特殊訓練を受けた海の向こうの工作員。
そして、アリスとは、連れ去られた女の子‥。
‥不思議の国のアリス。ではなく、私達が知る‥異国の工作員による、あの話がモチーフになっていました。
そして、最期の台詞には、やはり”不条理”と言う言葉が。
野田秀樹さんはこう書き記していました。
私達がなんとか力を貸してあげたくても、どうにもならない。
不条理極まりない事実。
こうした現実に向き合い、立ち向かっている人が居ることを忘れず、私達は日々どう生きるべきなのか。
全身で演じている役者さんに拍手を贈りながら、涙が止まりませんでした。
改めて、今の毎日が当たり前にある訳ではない。‥不条理。という言葉を深読みして考えてしまうと‥難しいなぁ‥と。
今の自分が出来る精一杯で、毎日を生きよう。と思いました。
しかし、野田さんご自身も舞台に立っていらしゃいましたが、60代と思えない躍動感❕そして、天才とはこういう人の事なのか‥と、只ただ、感服でした。
観られて幸せです。素晴らしい時間でした。
- 草流 井荻 長谷部優美